春の訪れを感じる音

去年は、ベートーヴェン生誕250周年ということでベートーヴェンイヤーだったのですが、コロナの影響で、コンサートやイベントはほとんど中止を余儀なくされ、散々なベートーヴェンイヤーでした。

書き物をしたり、本を読んだりしながら、今日聞いていたのは、ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲でした。

この協奏曲には、カデンツァといって、バイオリンが独奏する部分があります。この部分は、ベートーヴェン自身が作曲をしておらず、いろんな著名なバイオリニストが、この部分を作曲し、演奏しています。

有名なのはいくつかありますが、ハイフェッツ、クライスラー、アウアー、ヨアヒムなどのカデンツァが現在わりと多く演奏されているようです。

あと、ベートーヴェンがピアノ協奏曲で作曲したものを編曲して、クレーメルとか、テツラフとか、それからツェトマイヤーなどが演奏したりしてます。

私が、好きな演奏は、フランス・ブリュッヘン指揮、18世紀オーケストラ、ソリストはツェトマイヤーで、カデンツァはベートーヴェン自身作曲のピアノ協奏曲のカデンツァを使っている演奏です。

私は、麺もご飯もどちらかと云えば「硬め」が好きで、演奏も「硬め」が好きです。ですから、このCDの演奏も「硬め」というか、「バリ硬」に近くて大好きです。

ブリュッヘン・18世紀オーケストラの演奏は、この「硬さ」が売りです。もっとソフトにやってくれよ、と言いたくなるところもありますが、これはこれで、好きです。

パウケン(ティンパニ)の音が凄いです。まるで、ハードロックのドラムのようです。弦の粒立ちもよく、ラッパも戦闘的です。

しかしながら、その中にあって、ツェトマイヤーのヴァイオリンは、ちょっとおとなしいというか、少女っぽいというか、可愛らしいというか、そんな感じです。そのコントラストが、また素晴らしいと思います。

これを聴くと、第1楽章の最初から春の訪れのようなものを感じます。

ハイフェッツのと聴き比べると、まるで違う曲のように聴こえて面白いかもしれません。

ツェトマイヤーのが、こだわりの天然素材を吟味して、うちは化学調味料は一切使ってません、というような荻窪系自然派ラーメンであるとすると、ハイフェッツのは、まるで、ジローのラーメンのようです。ビブラートも異様に効いて、化調たっぷり、脂ギトギト、ニンニクマシマシ。でも、ジローのラーメンたまに無性に食べたくなりますよね。これは、これで、「美味しい」んですけど。