能楽 船弁慶

昨夜、NHKで、「船弁慶」やってました。歌舞伎に同じ演目ありますが、今回は「能楽」です。

シテは人間国宝の高橋忍さん、アイに野村萬斎さんの息子さんの野村裕基さん、ワキの弁慶は同じく人間国宝の殿田謙吉さん、でした。

ストーリー:

平家を壇ノ浦で討ち果たしたあと、義経、弁慶一行は、頼朝に嫌われて追討されることになってしまいました。都から義経の恋人の静御前も義経一行と一緒に落ち延びようとしますが、女の身で、一行と一緒に落ち延びることが難しくなってしまいました。それで、弁慶は、船着場についたところで静御前を説得し都に返します。

そのあと、静御前に未練のある義経は、一晩休んでから出発しようと言いますが、すぐに船に乗って、落ち延びるように弁慶が主張したのを受け入れ、大物浦(兵庫県尼崎市)から船出します。そうすると、海の向こうから、壇ノ浦で滅ぼされた平家の怨霊、平知盛が薙刀を振りかざして襲いかかってきます。それを弁慶は数珠を揉んで祈祷し、怨霊を退散させます。海が静かになっておしまい。

能楽は、一般的に日本人が観てもなかなか難しくて、そのまま理解するのは難しいですが、この「船弁慶」は、かなりわかりやすいです。そして、シテは一人二役で、静御前の遊女の舞と平知盛の怨霊の舞を踊り分けるわけですね。どれだけ難しいかは素人の私にはわかりません。

歌舞伎はセットも演技もダイナミックで楽しいですが、能楽は、抽象化されて、派手なセットもありませんので、自分で想像して理解する感じです。そして、「船弁慶」は外国人にも比較的わかりやすいと思うのですが、中には、惻隠の情とか、とても日本人的な感情の表現もあります。

昔はどんな年代の人も、大人も子供も普通に能楽や歌舞伎を観たのに、最近は、一部のマニアの若い人か、かなりの高齢者でないとこういう古典芸能を楽しむ人は少ないのが残念です。学校でも歌舞伎や能楽を授業として教えているみたいですね。

昔は、能の「船弁慶」を一般大衆が知っていたので、落語の「船弁慶」にも、みんな笑うことができたわけですね。