SF名作小説3選

SF小説はたくさんありますが、ベストセラーとなったものの、そうでないものの中で、読む価値があると思ったものを3つご紹介しますね。3つ以上になっちゃったら番外編として追加します。

三体    劉 慈欣 著

現代中国の本格的なSF小説です。これは、すごい!と思いました。さりげなく文革批判とかも入っているので、ついに中国も政治的自由を得たのか、とか錯覚してしまいます。

以下ネタバレになります。

ひとりの天文学者がやったことが、実はとんでもないことを引き起こしてしまう話。全く荒唐無稽なんですけど、これは、ありそうな話でもあります。文明論的にも優れた考察を展開しています。

この続編が6月に出ます。実は、それまで待ちきれなくて英語版で読んでしまいました。

なぜ我々は、宇宙人に遭遇できないのか、についてひとつの重大な示唆を与えています。そして、SETIなどの宇宙人探しや、宇宙に向けてメッセージを送るなんていうことは、めちゃくちゃヤバイことをやっているんじゃないか、と思えてくる話になっております。

星を継ぐもの ジェムズ・P・ホーガン 著

この小説は、古代宇宙飛行士説に繋がるヒントがありますが、ミステリータッチでどんどん引き込まれていく面白さがあります。コミックにもなっています。私は、コミックの方は読んでいないのでわかりませんが、確かに、コミックにしても読み応えがありそうな内容です。

地球の古代遺跡で発見されたものの中にオーパーツというものがありますよね。何十万年も前のアルミニウムの合金とかね。現在の考古学者の多くは、そういうものは理屈に合わないので無視してしまいますよね。でも、そういうものの中に私たちのルーツを示す重要な手がかりがあるかも知れません。この小説は、そういうことを想起させてくれます。

この続編が、「ガニメデの優しい巨人」というお話です。

グリーン・レクイエム 新井素子 著

高校生の頃、同級生の女の子に勧められて読んだ本でした。ストーリーもせつなかった思い出があります。

以下は、ちょっとネタバレです。

緑の髪の女の子の正体はエイリアンでした。主人公はその女の子に恋をしていたのに研究対象として傷つけてしまう。人間のどうしようもない宿命のようなものを感じました。

番外編:華氏451度 レイ・ブラッドベリ 著

1984と同じような、ディストピア小説の傑作ですね。ちょっとネタバレになりますが、言論・思想統制をするには、人々に本を読むことを禁止するのがいちばん効果がありそうです。未来の世界でも焚書坑儒というのはきっと起きるでしょう。そして、にもかかわらず、人々は、本をきっと読み続けるのでしょう。

トリュフォーによる映画もありますね。

レイ・ブラッドベリといえば、他には「火星年代記」が有名ですが、私は、この時期ちょうど読みたくなる本として、「タンポポのお酒」というのがあります。これは、SFではないんですが、いわばファンタジー小説で、とても優れた本です、おすすめです。

番外編:夏への扉 ロバート・A・ハインライン 著

山下達郎の同名の曲があるくらい、知る人ぞ知る、古典的SF小説です。「アルジャーノンに花束を」という悲しいSF小説がありますよね。「アルジャーノン」は、ハツカネズミで、死んでしまいますが、この小説には、「ピート」というネコが出てきて、死にません。この小説は、ハッピーエンドです。ストーリーもそれほど面白くないですが、ハッピーエンドというのがいいんです。

クライオニクスという技術があります。死後、肉体を冷凍保存して、何百年か経って医学が十分進歩し蘇生技術が開発された時、生き返ることを目的としています。

以下ネタバレになります。

しかし、この小説は、人工冬眠の話です。生きたまま何十年も眠り続け、現実に起きた問題を未来で解決する、というような話になっています。

賛否両論ありますが、1950年代に書かれたことを考えると、とてもよくできていると思います。

番外編:幼年期の終り アーサー・C・クラーク 著

ベスト3に入れても良かったんですが、番外編として紹介します。

「光明さん」のお話をこのブログでもよく書きますが、人間という種族は、高次に進化できる潜在能力を秘めているのかも知れません。そして、高次元の存在は、その進化を促すように、光明さんにコンタクトしてきているのでしょう。

以下ネタバレになります。

「幼年期の終り」は、高度に発展したテクノロジーを持つ異星人が、人類にコンタクトをしてくる話です。その目的が、人類の進化をもたらすためであるというところが、光明さんのお話と似ていると思いました。

高度なテクノロジーを持っている種族が、生命体として必ずしも高度に進化できるとは限らない、という考えも、光明さんのお話と似ています。そして、なんと、人間が高度に進化した結果、地球を滅ぼしてしまうとは!進化した人類はもはや地球を必要としなくなり、空気がなくても生きられるようになっていきます。

3つのつもりでしたが、結果的に7冊になってしまいました。まだまだ、良いものありますよね。そのうちにまたご紹介したいと思います。興味が湧いたもの、まだ読んでいないものがありましたら、ぜひ、読んでみてください。