アランの「幸福論」

幸福というのを皆さんはどんな時に感じるでしょうか?

この本を物凄くかいつまんで言うと、

「人間の幸福は精神的なものだけれども、それは精神だけでは満たされない。

身体的快楽や、物質的快楽なども程よくある状態が理想だ」

と言っているようです。

まあ、当たり前といえば当たり前な内容で、僕も全く同感です。

美味しいお酒も飲みたいし、適度に快適な環境も欲しいですよね。

ただ、どんなに物質的、身体的な環境が整っていても、幸福になれるかは別です。

不幸なお金持ちはたくさんいますから。

アランは、幸福というのは、徳のひとつだと言っています。

そうするとやはり幸福の源泉は精神の在り処の問題ということでしょうか。

お金や物質的満足は確かに幸福感を生じさせる一つの原因ではあると思います。

しかし、物質的満足が幸福の源泉である、という時代は、少なくとも日本においては、終わっているのかもしれません。

年収500〜600万円くらいの人が最も幸福であるという調査研究もあります。

それに、今回のコロナ禍で、幸せのあり方も、今までとは大きく変わったかもしれません。

朝、満員電車に乗らなくていい、近所に緑が多くて、空気や水がきれいな環境を散歩できる、豪華でないけれども美味しい食事とお酒、愛情溢れた家庭、音楽や本やDVD観賞などの文化的娯楽、そして何より、健康で悩みが少ないこと、こんな当たり前な、些細なことが幸福につながっているのかもしれません。

そういう観点で改めて読んでみると、この本は、味わい深いかもしれません。

昔読んだのと印象が違いました。もしかして、翻訳がかわったのかな?

でも、やはり難しい。

若い時に読んで、???な本でした。

実は、今読んでも???なところは結構あります。

もっと歳とってから読めばまた違うのかもしれません。