あめんぼ赤いな、あいうえお

北原白秋にこんな詩があります。


あめんぼ赤いな、あいうえお

浮藻に小蝦も泳いでる。

柿の木栗の木、かきくけこ

啄木鳥こつこつ枯れけやき。

ささげに酢をかけ、さしすせそ

その魚浅瀬で刺しました。

立ちましょラッパで、たちつてと

トテトテタッタと飛び立った。

ナメクジのろのろ、なにぬねの

納戸にぬめってなにねばる。

鳩ぽっぽほろほろ、はひふへほ

日向のお部屋にゃ笛を吹く。

まいまいネジ巻き、まみむめも

梅の実落ちても見もしまい。

焼き栗茹で栗、やいゆえよ

山田に灯のつく宵の家。

雷鳥は寒かろ、らりるれろ

蓮華が咲いたら瑠璃の鳥。

わいわいわっしょい、わいうえお

植木屋井戸換えお祭りだ。



どうですか?「五十音」というタイトルです。

言葉あそびみたいな、かわいらしい詩でしょ?

また、子どもたちが、あいうえおを楽しく覚えられるように工夫されています。

しかも、日本特有の文化を見事に織り込んでいる、素晴らしい詩だと思います。

今では、もうほとんどなくなってしまった習俗も入っていますが、令和の時代になっても、子供たちには、こういう日本的な感覚をいつまでも覚えておいていて欲しいなあ、と思います。