新しい経済システムと日本の未来(2)

前回は、経済システムについて財政・金融政策の側面からごく大雑把に見てきました。これは、学術論文ではありませんので、今回もわかりやすさを重視して見ていきたいと思います。

Covid-19

今回は、新型コロナ対策として、緊急事態宣言が出された今、経済システムは持ちこたえることができるのか、新型コロナが収束したあと、経済は復旧できるのか、について考察してみたいと思います。

1.政府の緊急経済対策の内容

2.コロナ収束後の景気回復は見込めるのか

3.この苦境はどのくらい続くのか

1.政府の緊急経済対策の内容

現在判明している内容でお知らせします。

・総額108兆円

財政支出は39.5兆円。赤字国債は14.4兆円で賄うそうです。予算規模はリーマンショック時の対策の約2倍ですが、ほとんどが、収束後の景気回復対策予算です。

・雇用調整助成金

事業主の申請を待って審査後支給。事業主がもらえるわけで、直接、非正規、アルバイトの人がもらえるわけではない。また、申請条件が厳しくて、申請する事業主は少ないのではないでしょうか。

・資金繰り支援に45兆円

・中小企業対策に200万円、個人事業主に100万円までの給付金

・生活困窮世帯に30万円給付

しかし、現金給付予算枠はわずかに4兆円ほどしかありません。

・子育て支援として、対象児童1人当たり1万円上乗せ

・固定資産税、住民税、社会保険料などの納付の猶予

現時点で判明している問題点としては、私は左翼ではありませんが、共産党の小池晃氏の言っていることが正しいと思います。

・給付水準が複雑であること、特に個人世帯だと月収8万円 を下回る場合でないと給付を受けられない模様です。

・中小企業、個人事業主への給付基準が曖昧で、いろいろな制限を付けられる恐れがあること、実際の給付が、事務処理作業の遅延などによって大幅にずれ込む恐れがあること、などが挙げられます。

それから、まだ懸念があります。

東京都は独自に、営業補償をした上で営業自粛要請している職種はありますよね。

でも、居酒屋は、営業自粛要請はせず、午前5時から夜8時までの営業とするよう営業時間の短縮要請で済ます、との方針らしいですが、これで、本当に感染爆発を抑え込めるのでしょうか?もちろん、営業補償はありません。

諸外国に比べて、大変にお粗末な緊急経済対策であると言わざるを得ません。

・安倍総理はなるべく早くと、先般の会見で言っていましたが、非正規やアルバイトなどの雇い止めや解雇にあって、今日、明日の生活の糧もない方も大勢いらっしゃるのに、いつまでも待てないでしょう。

・さらに、日本国内の生活困窮者の救済を優先させるべきではないでしょうか?以下は、108兆円のコロナ経済対策費の中から捻出される模様で、おかしいですね。

日本がIMF大災害抑制基金への拠出表明へ、低所得国支援=財務省幹部
  [東京 8日 ロイター] - 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、低所得国債務救済のため、日本政府が国際通貨基金(IMF)の大災害抑制・救済基金「CCRT」への資金拠出を準備しており、来週にも表明する

政府は、本当に国民のことを考えているのでしょうか?

Prime Minister Shinzo Abe of Japan Visits the White House

こんな呑気な指導者でいいのでしょうか?

2.コロナ収束後の景気回復は見込めるのか

地震のように社会インフラがダメージを受けたわけではなく、リーマンショックのように、金融システムがダメージを受けたわけでもないので、コロナが収束すれば、すぐに経済活動が戻り、問題なく景気回復は見込めるという考えがあります。これは本当でしょうか?

まず、オリンピックが延期になったことで、オリンピック特需は今年はないことになります。仮に、日本で早期に収束したとしても、世界中で蔓延しているコロナが世界中のサプライチェーンを分断していること、人の流れを国境封鎖や入国制限等で遮断していることを考えると、国内だけで早期に回復することは難しいのではないでしょうか。当然、すぐにインバウンドの需要を見込める環境にはないでしょう。

日本は、貿易依存度が最近は低く、約29.3%です。しかし、ヨーロッパ各国に比べて低いとはいえ、輸出や輸入のGDPに占める割合が約30%あるわけですから、サプライチェーンや人の遮断がある以上、経済に影響が出ないわけはありません。マスクでさえ十分に供給するのに時間がかかっているのですから、自動車、衣類、生活用品、医薬品など、複雑なサプライチェーンに依存する製品の生産、流通、消費がV字回復するとは思えません。観光業なども実際に動き始めるのは早くても今年の終わりぐらいになってしまうかも知れません。日本経済は、苦境に立たされる恐れが大きいと言えるでしょう。

3.この苦境はどのくらい続くのか

IMF専務理事のゲオルギエバ氏は、今回の新型コロナ感染症の世界的蔓延による経済的損失は、1930年代の「世界恐慌以来の最悪の不景気になる」と予測しています。

IMF、今年は大恐慌以来最悪の世界的なリセッションになると予想

当たり前ですよね。今回の政府の経済対策では、この難局を抜け出しV字回復に乗せることは難しいでしょう。

この点、2月8日に占った卦を見てみましょう。

易占は、その有効期間が3月ぐらいだということを念頭においてご覧ください。ということは、この緊急事態宣言が出されている5月6日ごろまでが最も正確です。今後の展望は、5月の8日過ぎた頃にまた占いをしてみます。ですのであくまで参考までに、ということです。

経済は「妻財」でみます。そうすると、基本的には「妻財申金」の強弱を暦の干支との組み合わせでみていきます。また、チャートの一番下の初爻が動きます(父母寅木→兄弟巳火)ので、これにも注目してみていきます。

4月現在は辰月で、「妻財申金」は、「生」の関係となりますが、「空亡」の方がマイナスダメージが大きいので、「経済」は、現在「機能停止」の状態です。5月5日から月の干支が変わり、「辛巳」となります。そうすると「妻財申金」には「合」となりプラスとなりますが、空亡のダメージは大きいので、やはり、「経済」が動き出すことは難しそうです。

また、政府の経済対策もやはり、第5爻の「妻財申金」でみます。そうすると、政府の対策も以上のことが当てはまるので「機能停止」、不十分ということです。少なくとも、5月までは、この不十分な状況でいくのかも知れません。ことによると緊急事態宣言は、延長されるかも知れません。

チャートの一番下、初爻の、父母寅木→兄弟巳火はどうでしょうか?

4月現在の干支は、「辰」ですので、「寅木」、「巳火」共にダメージになりますので、勢いが弱くなります。動きはおそらくないでしょう。さらに、5月は上で述べたとおり「巳」ですので、「寅木」はマイナス、「巳火」は月併となりプラスです。初爻は、庶民レベルを表します。この「兄弟巳火」は強くなってきます。そうすると、庶民レベルで、何か明るい兆しが出てくるかも知れません。火は文明、文明の利器を表します。コンピューター関係、先端技術関係などで何か良い兆しが出てくることを願いたいです。5Gの普及に進展が見られ、これが景気回復のきっかけになるかも知れません。

この「父母寅木→兄弟巳火」は、「木生火」で、「泄気」という関係になり、「父母寅木」はチャート自体ですでに、とても弱くなっています。そこで、「父母寅木」は、4月、5月両方とも、月の干支の応援を得られないので、ものすごく弱くなります。これが少し気がかりです。「父母寅木」は、「土」を剋するので、5爻の「妻財」を助ける作用を阻害します。妻財は、日本経済、政府の経済政策を表しますから、日本経済、政府の経済政策が共にうまくいかないことを表していると読めます。つまり、庶民レベルの経済活動がうまくいかないので、日本経済全体、大企業も含めてうまくいかないでしょう。政府の経済対策は、5月までの段階では効果を発揮しないでしょう。

Tokyo Stock Exchange Display

以上が、5月ごろまでの見立てです。6月以降は、また、来月占ってみましょう。

さて、次回は、こういう全世界的な経済危機に対して、かつて世界恐慌の起きた1930年代、「金本位制」から「管理通貨制度」へ、「自己責任」から「社会保障制度」へ転換したように、今後、新しい経済システムへの転換が求められると思いますが、その可能性を見ていきたいと思います。