困っている人たちがたくさんいます

アメリカは、上位20%の人が、アメリカの総資産の90%以上を持っていると言われています。

日本はどうかというと、そこまで富の集中は進んでいなくて、金融資産に限って言うと、全体の上位3割の人が日本の総資産の3割5分を持っている、というぐらいです。なら、貧富の差はそんなに深刻じゃないだろう、と思ってしまいます。

ただ、この数字には、現実を反映していない部分があります。

それは、目に見えない格差として現れています。

目に見えない格差は、まず、正社員と非正規雇用の労働者です。現在、給与所得者のおよそ4割が、非正規労働者です。自ら望んで非正規をやっている方、何か理由があって一時的に非正規の方、いろいろな資格を持っていらっしゃる非正規の方、こういう方々は、非正規という終業形態に不安を感じている方は少ないかも知れません。

これに対して、就職氷河期などの理由で、非正規にならざるを得なかった方々、シングルマザー、日雇い労働者に近い環境で働いていらっしゃる方々などは、将来の不安を抱えながら働いていらっしゃるのではないかと思います。

従来は、こういう捉え方をされてきた日本の労働問題ですが、実は、もう一つの視座というか、把握のための軸があるのではないか、と思うのです。

それは、資産を所有しているか否かです。例えば、非正規、現金収入の少ない方々の中にも、親族が資産を所有していて相続できる可能性のある方は、将来的には、それを相続・活用して、資産形成、不労所得などを見込める方がいらっしゃると思います。

正社員の方は、多くの場合、自ら資産形成できる方が多いかも知れません。また、非正規雇用でも、資産を得られる可能性のある方はいらっしゃるでしょう。

しかし、やはり、大変不安なのは、非正規雇用で、資産のない方だと思います。

政府の労働力調査によると、今年の3月、4月だけで、非正規雇用の方の雇用が、前年比、120万人消失してしまっています。これに対して、解雇の条件が厳しい正規雇用者には、これほどの激しい減少はありません。正規と非正規の賃金格差も縮小していません。

そこにきて、このコロナ禍で、非正規の方の収入は激減しています。政府の対策も全く不十分です。生活に困窮している方がたくさんいます。

さらに、非正規で、地震や洪水で被災した方はもっと大変です。いまだに援助も不十分で、苦しい思いをしていらっしゃる方が、たくさんいます。

新しい政権は、こういうかたたちの救援を充実させていって欲しいと思います。

やはり、生存権の実質的な保障として、ベーシックインカムの導入を早期に検討すべきと考えます。