形態形成場仮説について

ずいぶん前に聞いた話ですが、メモ的にここに書いておきます。

純粋なダーウィン進化論では個々の獲得形質は遺伝しないというのが大原則だそうなのですが、それは間違っていて、生物の遺伝ばかりではなく、時空を超えて現象や無生物の獲得した形質が伝播するというのです。

この仮説を唱えている科学者が、ルパート・シェルドレイクという人で、生命のニューサイエンスなどの本を書いています。

例えば、ペットのワンちゃん、ネコちゃんは、ご主人様が帰ってくるのが、自宅に到着する何分も前にわかりますよね。足音が聞こえるのだろう、自動車のエンジンの音が聞こえるのだろう、とか、ニオイでわかるのだろう、とかいろいろ言われていますが、飼い主が家の近くの駅についただけで、あるいは会社を出ただけで、イヌやネコなどのペットがある決まった行動をとるとか、また飼い主からの電話が鳴る直前に、それを察知するという例もあるそうです。さらには引越しした飼い主を見つけ出すといったエピソードもよく知られているそうです。不思議ですね。

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また、彼の形態形成場の仮説を検証するために、イギリスのテレビでの公開実験も行われました。

まず、一種のだまし絵(一種のパズル)を2つ用意します。一方の解答は公開しないものとし、もう一方の解答はテレビによって視聴者200万人に公開します。テレビ公開の前に、これらの2つの絵を約1000人にテストします。テレビ公開の後におなじように別の約800人にテストをします。どちらも、この番組が放映されない遠隔地に住む住人を対象としました。

その結果、テレビ公開されなかった問題の正解率は放映前9.2%に対し放映後10.0%であり、もう一方のテレビ公開された問題は放映前3.9%に対し放映後6.8%となったそうです。これにより、「公開されなかった問題では正解率は余り変化しなかったが、公開された問題は大幅に正解率が上昇した」とされました。この公開実験によって、シェルドレイクの仮説は多くの人々に知られるところとなったそうです。

最初の方で、生物の個体としての経験などの獲得形質は遺伝しない、というダーウィン理論の大前提があると言いました。シェルドレイクは、もともとはケンブリッジ大学の生物学者で、植物の再生の研究から、この仮説を思いついたそうです。

彼は、「形態共鳴」というものが、同じ種の間で形成されて、物理作用や性質に関して、何らかの形態やパターンを共有していくのではないかと考えたそうです。種の形質は、DNAの基本的配列は同じであるので区別できなく、DNA以外のものが遺伝に関与していると考えなければ説明できない、と述べています。

簡単にいうと、「ある生物や無生物に起きた現象が、時間や空間を超えて伝播していく」ということです。彼は、さらに、このような情報は、クラウドのような場所に保存されていて、生物や無生物は、その端末のようなもの、あるいはアバターのようなものと考えているようです。

「引き寄せの法則」も、この「形態共鳴」が関係しているかもしれませんね。例えば、「関東直下地震が起きるかもしれない」という、みんなの思念が、「形態共鳴」を引き起こして、現実に大地震を引き起こすとか、あり得そうです。

個人的な考えですが、「シンクロニシティ」や、「インテリジェント・デザイン」についても、同様の説明が可能かもしれません。

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もし、これが本当だとすると、やはり、宇宙は、巨大なコンピューターのシミュレーションが生み出す、バーチャルリアリティかもしれません。クラウドに蓄えられた情報というのがいわゆる「アカシックレコード」ということかもしれません。

彼のこの仮説は、科学者たちからも賛否両論あります。デヴィッド・ボームというノーベル賞を受賞した量子物理学者は、シェルドレイクの仮説を支持しました。これは、「量子もつれ」が関係しているというのです。

また、有名な「ネイチャー」という雑誌の元編集長、「ジョン・マドックス」は、「物理や生物現象の説明に魔術は要らない、彼の著作は『焚書』にすべきだ。」と酷評しました。

グリセリンの話、100匹目のサルの話は、事実ではなさそうなので、ここではとりあげませんでした。それを割引いても、世界にはまだまだ不思議なことで溢れていますね。