
前回からの続きです。前回の内容は こちら です。
シュタイナーの思想体系は複雑で膨大なものですので、体系の最初からをいちいち紐解いていたのでは、このブログの読者様にとって必ずしも興味を惹くものにならない可能性があります。
そこで、優先順位をつけて、調べていくことにします。
その優先順位とは、以下の通りです。
1.アーリマンが三千年期(西暦2000年以降)に受肉し、ルシファーとサタン(?)を使って、人類に大災厄をもたらす、ということの意味を詳しく調べること。
2.日本は地球の頂点であり、日本が、世界に起きる大災厄の雛形になり、日本で、数々の大災厄が起きる、ということの意味を詳しく調べること。
3.人類は霊的な進化の途上であり大災厄が進化を促すことになる、ということの意味を詳しく調べること。
以上をます詳しく調べようと思います。
限られた時間と能力の中でどこまでできるかわかりませんが、やってみたいと思います。何回かに分けてやっていくことになります。
前回は、日本が世界に起きる大災厄の雛形になり、日本で数々の大災厄が起きる、ということについて見てきました。
今回は、第8回目、人類は霊的な進化の途上にある、ことの意味についてです。
人類の霊的進化について
シュタイナーによると、宇宙には霊的進化が起きており、人間も霊的に進化していつか天使のような存在になれる、そうです。
彼の時間と空間に関する思想は我々凡人の認識を遥かに凌駕するもので、気の遠くなるような時間意識と空間意識から成っています。この部分がシュタイナーの思想の中核部分と言ってもいいと思います。
ご紹介するのに躊躇してしまうほど、複雑で難解なのですが、なるべく簡略化してご紹介してみます。
人間の進化の意味
まず、シュタイナーによる、人間進化の意味についてお知らせします。
万物は鉱物のような無生物の段階から造物主のような神様の段階まで進化します。霊的進化の意味の第一は、被造物が霊的に進化して創造主になることです。「人間」という存在は、その過程の一時的な過渡期に過ぎません。
我々人類は、はるか昔、鉱物の段階から、植物、動物の段階を経て、自我に目覚め、人間となりました。人間は、これから、気の遠くなるような時間をかけて、進化の階梯をひとつずつ昇り、最終的には造物主になるのです。
シュタイナーによると、天使は造物主の類に分類されています。人間が次に進化すると天使になるので、今が、被造物から造物主への進化の転換点ということになります。
では、まず、その天使の霊的階梯をご紹介します。
1 愛の霊=セラフィム(熾天使)
2 調和霊=ケルビム(智天使)
3 意志霊=トローネ(座天使)
4 叡智霊=キュリオテテス(主天子)
5 運動霊=デュナメイス(力天使)
6 形態霊=エクスシアイ(能天使)
7 人格霊(時代霊)=アルヒャイ(権天使)
8 火の霊(民族霊)=アルヒエンゲロイ(大天使)
9 薄明霊(個人霊)=エンゲロイ(天使)
以上、9段階あり、現在の人間はこの下の10番目(第10ヒエラルキア)だそうです。人間は、第9ヒエララルキアの薄明霊(個人霊)、エンゲロイ(天使)になるべく、進化の途上にある、ということです。
ただ人間は、この第9段階までの諸天使たちが「人間段階」にあった時とは、違う進化をしています。それは、「ルシファー」によって、「自由」を得ている点です。したがって我々人類は、自分の自由な意思によって進化の過程を進むことになります。
宇宙進化論
以上だけでも、人間の進化の意味は、とりあえずわかるのですが、シュタイナーの思想をもう少し深く知るためには、宇宙進化論について理解する必要があります。
宇宙の進化は、七つの意識状態と七つの生命状態と七つの形態状態、そしてさらに七つの根幹人種期と七つの文化期の7x7x7x7x7=16,807段階を経て展開されます。
つまり、七つの意識状態のそれぞれに七つの生命状態があり、そしてさらにそのそれぞれに七つの形態状態があり、さらにそのそれぞれに七つの根幹人種期、そしてさらにそのそれぞれに七つの文化期があるということです。
七つの意識状態
シュタイナーは、ブラヴァツキー夫人の神智学協会のドイツ支部長をしていたこともあり、神智学協会の「神智学」の影響を多分に受けているそうです。
進化の過程におけるこの七つの意識状態も、神智学協会の神智学の影響を受けて、以下のように定義されます。
神智学では、意識状態を「惑星紀」という言葉で表しています。
(惑星紀) (意識状態)
1 土星紀:昏睡(鉱物)
2 太陽紀:睡眠(植物)
3 月紀:夢(形象意識、動物)
4 地球紀:覚醒(対象意識)
5 木星紀:自覚した夢(心魂的意識)
6 金星紀:自覚した睡眠(霊感的意識)
7 ヴァルカン紀:自覚した昏睡(直観、霊的意識)
現在我々は、上記の第4段階の「地球紀」にいます。「地球紀」は前半を「火星紀」、後半を「水星紀」というそうです。
最初の「土星紀」では、2〜7までの全ての意識状態を内包しているのですが、意識状態の進化につれて、古いものがどんどん分離されていきます。ですから、現在は、第4段階で、土星、太陽、月までの意識状態が分離した状態ということになります。私の勝手なイメージで恐縮ですが、混合物を蒸留によって分離していく過程に似ているかもと思います。ただ、それぞれの惑星の要素は、完全には抜け切らないで、また、生命状態や形態状態の変化などによって再び生じたり、強くなったりするようです。
七つの生命状態と七つの形態状態
以上の七つの意識状態、つまり、惑星紀には、七つの生命状態があります。それは、
1 第1元素界=純粋な神的、霊的状態
2 第2元素界=神的、霊的状態
3 第3元素界=心魂的状態
4 鉱物界=物質的状態
5 植物界=心魂的状態
6 動物界=神的、霊的状態
7 人間界=純粋な神的、霊的状態
です。
これを説明すると本が一冊必要なくらい膨大な説明が必要です。しかし、読者の皆様は、手っ取り早く、概略が掴めれば、とりあえず先にいけると思うので、簡潔に説明させていただきます。
七つの生命状態を経て、それぞれの惑星紀(意識状態)は、その紀特有の生命体を生じさせます。すなわち、土星には物質体である肉体を、太陽紀にはエーテル体を、月紀にはアストラル体を作り出します。
そして、現在の地球紀においては、第1元素界、第2元素界、第3元素界では、地球紀の前の土星紀、太陽紀、月紀に出来た生命体を生じさせています。それは、それぞれの惑星紀で作った、肉体、エーテル体、アストラル体です。
これには、霊的階梯の上位に居る各高級霊が関与するのですが、関与の仕方とか、何がいつ何を作り出すか、とかは、とりあえずすっ飛ばして先に進めますね。
そして、上記のそれぞれの生命状態において、以下に示す形態変化の経過があります。すなわち、
1 コーザル的形態=純粋な神的、霊的状態
2 メンタル的形態=神的、霊的な状態
3 アストラル的形態=心魂的状態
4 物質的形態=物質的状態
5 彫塑的形態=心魂的状態
6 知性的形態=神的、霊的状態
7 元型的形態=純粋な神的、霊的状態
です。
これに関しては、あまりちゃんとした説明が見つけられていないので、現段階では私にもよくわかりません。
以上をまとめると、現在我々人類は、「地球紀」という意識状態の、「鉱物界」すなわち物質的な生命状態の、「物質的形態」の形態状態に、位置しています。
七つの根幹人種期と七つの文化期
ここまでで、私もかなりお腹いっぱいなのですが、シュタイナーの宇宙進化の思想には、さらに細かい時代区分があります。それが、七つの「根幹人種期」と、そのそれぞれに存在する七つの「文化期」です。
七つの根幹人種期と言いますが、シュタイナーによれば、「根幹人種」が生じてきたのは、アトランティス時代頃以降ということですので、それ以前には人種が存在しなかったようです。それでも、以下にその時代区分をあげておきます。
根幹人種期
我々が存在しているのは、形態状態を表す時期としては、先に述べたように、4番目の「物質的形態」の時期になります。この「物質的形態」の時期は、以下に示すように七つの根幹人種期に分かれます。すなわち、
1 ポラール期
2 ヒュペルポレアス期
3 レムリア期
4 アトランティス期
5 後アトランティス期
6 第6根幹人種期
7 第7根幹人種期
です。
現在我々は、「後アトランティス期」にいます。
文化期
現在我々がいる「後アトランティス期」は、さらに七つの文化期に分かれます。すなわち、
1 古代インド文化期
2 原ペルシア文化期
3 エジプト・カルデア文化期
4 ギリシャ・ローマ文化期
5 第5文化期
6 ロシア文化期
7 アメリカ文化期
です。
現在我々は、「第5文化期」にいます。
現在までの人類の進化
現在までのところをまとめます。
人類は、現在、意識状態を表す区分である惑星紀では、「地球期」に、生命状態を表す区分では、「鉱物界」つまり物質的状態に、そしてその中の、形態状態を表す区分であるところの「物質的形態」にあり、そしてさらにその中の、「根幹人種期」を表す区分では、「後アトランティス期」の中の、文化期は、「第5文化期」にいる、ということになります。
全くの無生物の状態から人間まで進化してきました。
レムリア期
すなわち、地球紀のレムリア期より前、人類は、まだ現在のような肉体を持っていませんでした。レムリア期までの人類は、魚のような姿をしていました。レムリア期に月が分離した後、太陽と月の影響によって、人類は地上に受肉するようになりました。人類はエラ呼吸から肺呼吸となり、そして、人類の中に、「男」と「女」ができました。人類は直立に歩行し始め、肉体の「死」を経験しました。
ルシファーは、本来なら、太陽紀から月紀に変わる時、他の高級霊たちと同様に太陽に移住するはずでした。そして、太陽から、他の高級霊達と共に、人類の「自我」に働きかけるはずでした。しかしながら、ルシファーは、太陽に移住することを拒み、他の高級霊達の進化から取り残される形になってしまいました。進化の計画では、本来なら、ルシファーは、月紀に人間のアストラル体に働きかける予定でしたが、地球紀のレムリア期に、ルシファーによるアストラル体への働きかけが行われました。
その結果、レムリア期の人類は、宇宙の叡智から分離される代わりに、アストラル体が分離独立し自由を得ました。それによって、個人としての意識、自由意志が芽生えました。聖書の中の、アダムとイヴの失楽園のお話はここからきているそうです。
アトランティス期
そして、アトランティス期の第5文化期に、人類は、言語を使い始めました。これにより文明が発達し、偉大なアトランティス文明を築きました。
しかし、今度は、アーリマンの介入により、人間の魂(悟性魂)に侵入されて、唯物的志向を増長させ、霊的世界を感知できなくなってしまいました。
そして、この後、人種が誕生しました。7種類の人種が誕生したそうです。
それは、ルモアハル人、トラヴァトリ人、原トルテク人、原トゥラン人、原セム人、原アッカド人、原モンゴル人の7人種です。
この誕生のもととなったのは、七つの惑星です。すなわち、土星、太陽、火星、水星、金星、木星、ヴァルカン星に滞在していた人間の魂がもととなったのです。この惑星の魂に対応した秘儀神託所が7つありました。
後アトランティス期
後アトランティス期の人類は、第5人種である、原セム人が始まりでした。後アトランティス期に人類は、最初の古代インド文化期から、現在の第5文化期まで五つを経験してきました。
古代インド文化期
この時期は、アトランティス時代の太陽神託所の秘技参入者であったマヌから、7つの秘儀神託所における秘儀参入者のエーテル体を与えられた7人の神仙(リシ)によって築かれた文明のことです。シュタイナーによると、マヌは聖書のノアと同一人物だそうです。彼らは、霊界に目を向けて、この世を幻と解釈しました。
原ペルシア文化期
ゾロアスターにより文明が築かれました。彼は、7回転生し、7人の神仙から教えを受けたと言われています。ゾロアスター教の世界観を反映させた時代です。すなわち、善神アフラ・マズダと悪神アーリマンの2元論です。
エジプト・カルデア文化期
ヘルメス・トリメギトゥスにより、エジプト文明が成立しました。秘儀と星の観察により、神の国を地上に実現させようとしました。また、この時期、中国に、ルシファーが受肉しました。紀元前3000年ごろの話です。
ギリシア・ローマ文化期
「個人」を中心とした文化期で、プラトンとアリストテレスの物質と精神の二元論も発達しました。また、ルシファー的なものとアーリマン的なものにバランスをもたらす、キリストが受肉し、ゴルゴダの丘で処刑されました。シュタイナーによると、これが人類最大の事件だということです。
第5文化期
現代の文化期です。これは1413年〜3573年まで続きます。ゲルマンーアングロサクソン文化期とも言います。この時期は、アーリマンが受肉して、唯物主義の傾向が強くなり、大天使ミカエルと激しい戦いを繰り広げます。人間の個人という意識が強くなり、個人の自由な創造が重視される時代だそうです。アーリマンの介入により、人間の意識から霊的世界が閉ざされようとします。しかし、この時期、霊的世界は、知性と感情が結びついた形で、人々の中で認識されるようになるそうです。
以上、現在までの人間の霊的進化についてざっと見てきました。第5文化期の後、ロシア文化期となります。この時期は、神秘学的真理の探究が盛んになり、さらに、人種間の交配によって地球上に人種間の相違はなくなって一つの人種になっていくようです。
そうすると、第5文化期の我々人類の進化のための使命というのは、アーリマンのもたらす唯物論に囚われず、知性的に霊的世界を探求、経験し、人間的な豊かな感情を伴って、霊的世界を受け入れること、かもしれません。
すなわち、何らかの超自然的な存在への畏敬の念を持ち、霊的世界を唯物論的に全否定してしまうのではなく、知性的に探求することをやめない態度が良いと思います。そして、愛情豊かに人間的感情を失わないように持ち続けること、人間の自由の創造物である芸術や音楽、文学などを愛し、そして、他人に対しては、寛容と忍耐を持って接し、分断を防ぐこと、これが良いのかもしれません。
今回は、これで以上になります。
次回は、大災厄が人類の霊的進化をもたらす、ということの意味について考えてみます。ルシファーやアーリマンの人類霊的進化に果たす役割についても調べてお伝えしたいと思います。
テイジン様 本当にありがとうございます。これらの事柄を体系的に説明されるには俯瞰して観ることが出来る能力が必要ではないかと感じています。これだけ膨大な内容をある面分かり易く述べていくだけでも俯瞰(全体を通して高所から見通せるといった意味ですが)していかないと結局何が何だか分からない説明にしかならないからです。ある面恐れ多いことですが。神のように全体や歴史を見ること、観ていく能力や意識が無いと難しいと感じます。このようにシュタイナーの内容をお伝えして頂けることは幸いなことと深謝しております。この膨大な内容について卑見さえも述べることはとても出来ませんが、読んでいて思うことは、これは聖書が語っている内容との相似性です。一例を挙げるならば、「我々人類は、はるか昔、鉱物の段階から、」については、旧約聖書の創世記第2章7節に「主なる神は土のちりで人を造り」とあり、第1章26節に「われわれのかたちに。われわれにかたどって人を造り」とあることに対応しているのではないかと思うのです。霊界若しくは天上界(地上界とは異なるといった意味ですが)の構造等はヨハネの黙示録や旧約聖書のエゼキエル書やダニエル書に書かれている内容との符合が思い出されれます。マダム・ブラヴァツキーの神智学やシュタイナーの理論は、それまでに形成されてきた歴史学や物理・化学的な知識を、彼らの魂の中に無意識的にかもしれませんが植え付けられた聖書の知識に基づいて整理を行っているのかもしれないかなとは感じております、浅はかな直感にしか過ぎないものかもしれませんが。ただこれらの内容を世の方々全てが理解は難しいのではないか。そのエッセンスを述べているのが聖書にあるのではないかとも感じてはいます。テイジン様のご尽力に対して余りに貧弱な応答にしか過ぎませんが、深甚なる感謝に添えてちょっと一言、余計な言葉を付け加えさせていただきました。次回以降の記述をお待ちいたしています。ありがとうございました。
中尾さん
コメントありがとうございます。
シュタイナーの思想は、とにかくものすごく膨大で、その全貌をつかむことは凡人である私などには、本当に無理な仕事です。
聖書に沿って整理・理解している、とおっしゃる中尾さんのご指摘は、真に慧眼であると思います。
当時、西洋の精神科学(神霊学)の基礎になっていたものは、聖書学であろうと思います。聖書の知識をすごくすごく敷衍して、もう少しユニバーサルなものにして積み重ねていくと、神智学、人智学になるのかもしれませんね。
それにしても、ひとりの人間の中に、このような気の遠くなるような深く広大な世界が広がっていることに本当にただただ驚いています。
それにしても、紀元前3000年に中国にルシファーが受肉した、という記述を見つけた時、「黄帝」のことを連想しました。「易」は、伏犠が発明したことになっていますが、魏晋時代(3~4C)にそのような説が確立したらしく、もしかすると、黄帝と伏犠は同時代の人、あるいは同一人物かもしれないと思っています。神秘主義とデジタル思考を結びつけたような哲学が「易」の哲学ですので、とっても、ルシファーっぽいのです。「易」はルシファーが発明したと言っても驚きません。黄帝は、応龍という龍に乗って移動したらしいです。黄帝自身が龍だったという説もあります。こうなってくると、ルシファーそのものにも思えてきます。ルシファーの属性は神の属性と間違うほどに神聖な面もあります。
「易」に使われることなく、「易」を使いこなすことができるように精進したいと思っております。
どうもありがとうございます。どうぞ、お健やかにお過ごしくださいませ。