新しい経済システムと日本の未来(5)

前回まで、シリーズで、アベノミクスの失敗、既存の経済システムの限界、MMTとベーシックインカムの可能性について見てきました。

これからの世界は、例えばスーパーインテリジェントAIによる、社会システムのコントロールを通して、人口爆発、貧困、戦争、環境破壊、パンデミックなどの脅威を克服し、個人の幸福に対しての最適解を与えられる、薔薇色の世界になるのでしょうか?

この点、Leap 2020と言うフランスのシンクタンクは最近、AIとテクノロジーの発展の恩恵を受け、人類は、薔薇色の社会を享受するであろうと言う近未来予測を発表しました。 これは本当でしょうか?欧米でも、現行の政治経済システムの限界が露呈する中、ポピュリズムやナショナリズムの台頭を背景に、素早い対応や強いリーダーシップを渇望する声が日に日に大きくなってきています。 今回のコロナ禍においても、素早く、適切な対応を果断にとったリーダーへの支持と、対策が遅れたり、誤った政策をしたリーダーたちには、批判と不支持の声が大きくなっています。 そこで、今後の政治経済システムについて、民主主義・資本主義に代るものとして、社会主義独裁システムの可能性について考えてみます。

中国の台頭


一説には、コロナ収束後の世界は、その秩序が大きく変わっていくであろうと言われています。つまり、中国が一番最初に感染収束を達成して生産などの経済活動を再開し、世界中に防護服や医療マスクなどを無償提供したり、経済援助をして中国支持国を増やし、あるいは、さらなる中国への経済的な依存国を増やし、その世界的な支配力を強化していくのではないか、反面、欧米各国や日本などの先進国は、コロナ収束が遅れ、経済活動の再開が遅れた結果、中国に大きく水をあけられてしまい、その結果、中国が国際経済のヘゲモニーを握ってしまう、というものです。

IMFの報告の通り、コロナが収束した後、景気回復せず、世界的なリセッションが到来した場合、小さなパイを奪い合うことを避けるため、発展途上国では、国家が物資を統制する社会が到来するという予想もあります。


そして、中国が経済的な支配権を握ってしまい、世界的なサプライチェーンを支配してしまうと、中国に隷属してしまう国が多くなり、民主主義的な価値観が軽視されていき、共産主義、社会主義的な統制社会の国が多くなるのではないか、という説もあります。

欧米の凋落

民主主義の本家本元の欧米ですが、反グローバリズム、ナショナリズムの嵐に翻弄されています。

個人の自由を制限し、社会全体の利益を確保するコロナ対策は、極めて、社会主義・全体主義的な政策です。欧米では、外出制限、営業の禁止措置など、かなり強権的な政策を実施しています。個人は、罰則によって、行動の自由を制限されている状況です。

しかし、外出制限、営業禁止措置などに反対するデモも盛んになってきています。

こういうデモの参加者は、強烈なトランプ、Qanonの支持者で、コロナウィルスは、政治的エリートの陰謀であると真面目に信じています。

すなわち、実はコロナウィルスの蔓延は嘘で、政治的エリートが一般国民を支配するために、ワクチンを接種させようとしているのだという話です。ワクチンの中には、マイクロチップが入れられており、個人の行動を監視したり、洗脳に使ったり、という話をまともに信じているのです。

そして、外出制限や、ワクチン摂取に反対する人々が、このコロナ制限の中で、反対デモが欧米各都市で激しくなっています。

例えば、アメリカのメリーランド州のデモでは、トランプ支持者が中心となり、政治的エリートによるワクチン摂取という陰謀論を真に受けて反対運動が起きています。警官隊と衝突し、逮捕者も出ています。

アメリカは、こういった、トランプ支持者、そして、Qアノン支持者による、コロナ外出制限は陰謀であり、政治的エリートによってワクチン摂取を強制する口実である、という情報を真に受けて外出制限に従わない人たちが、一定限度(一説によると約4割)いるとみられます。

今後、大統領選が進んでいくにつれて、このデモも過激になり、アメリカ国内の分裂に向かう可能性もあります。

パリ、ロンドン、ベルリン、オーストラリア、カナダなどでも、同様のデモは激しくなっています。

これに対して、法律的な罰則を含む強権的な制限を貫く欧米各国の政府は、場合によっては、個人の自由を制限しても公共の利益を守る姿勢を崩そうとしません。このような対応は、今後も続くものと思われます。

日本はどうなるか?


日本は、コロナ収束にも中国や欧米のような強い人権制限的な手段が取れないため、コロナ収束に時間がかかり、経済回復も遅れるのでないかという懸念があります。経済の回復が遅くなり、経済そのものが縮小してしまう可能性があります。すでにデフレ社会で、大きな経済成長が望めない社会です。そうなると、日本も、小さなパイを奪い合う社会になってしまうかもしれません。小さなパイを奪い合う社会は、国民の間に摩擦や軋轢を生じさせ、国民経済的には効率がよくありません。そこで、国家が市場経済に積極的に介入し、統制的に運営することで、国民間の資源分配の適正化を図ろうとする経済が出現するかも知れません。あたかも、大東亜戦争直前の国家総動員法、統制経済の再現となるかも知れません。

戦前の統制経済も法律的強制というよりは、大企業の主導する民間部門の「忖度」によって、「自然と統制経済になった」そうです。

この本に書いてあります。↓

そうなると、再び、個人の「忖度」に支えられた統制社会になるのでしょうか?私には、現代の日本は、いわば、中国のような一党独裁的体制は難しいとは思えますが、従来の民主主義的資本主義はもう限界に来ているようにも思われます。

聖書に書いてあること


この動画は50分以上もあるので、ざっと要旨を書いておきます。この動画によると、コロナが収束した後も経済恐慌が起こり、失業者が増え、企業が倒産し、あるいは、外国企業に買収され、多くの国が外国の奴隷になってしまうというのです。国家は、個人の自由をどんどん認めなくなり、統制社会になっていくと言っています。それが、聖書に書いてあるというのです。

高島先生の予想

普段、大変、お世話になっている高島康司先生の今後の世界の予想は、「超階級社会」だそうです。

超階級社会というのが難しければ、「超管理社会」という意味です。

やはり、スーパーインテリジェントAIと5G環境で、個人の徹底的な監視を前提として、個人の不満を予測し、反社会的、反政府的なデモなどを起こさせないようにする政策を政府は実施するでしょう。

この社会では、個人の行動は、全て予測され、犯罪の起きる可能性は極力少なくなり、暴動などの反政府、反社会的な行動は、そもそも起きないと言われています。政府が、一人ひとりの欲求や価値観、行動様式、感情などを把握して、政府に対して不満を感じる前に、対策が取られるからだそうです。

映画「マイノリティーリポート」のような社会です。

そして、それでも、政府の転覆や革命を目指すような危険分子は徹底的に弾圧されるのでしょう。

ヒトラーの予言

ヒトラーが、1939年1月25日、党の幹部を相手に語ったとされる、100年後、つまり、2039年の世界についての予言があります。ご存知の方も多いと思います。

その中で、ヒトラーは、完全にロボットのようになってしまった被支配層の人間と、神のような「神人」に進化する支配者層とに二分化し、現在のような人間は、一人もいなくなると予言しています。支配されるロボット人間は、それなりの仕事や娯楽も与えられ、気楽な身分だとヒトラーは言っています。そして、もしかすると、神のようになる支配者層は、スーパーインテリジェントAIと一体化し、脳の中にチップなんかを埋め込んで、神のような英知を手に入れるのかも知れませんね。

そうなった世界は一体、どのような世界なのでしょうか?人々は、ベーシックインカムを与えられ、何も考えなくなり、政府のいう通りに行動するように、ロボット化してしまうのでしょうか?そしてそうなってもそれなりに幸せなのでしょうか?

ユートピアなのかディストピアなのか、どっちなんでしょうか?その時、個人の尊厳、民主主義は、どうなってしまうのでしょうか?

まとめ

現在、従来型の天賦人権説に基づく民主主義は、やはり、限界に来ていると思われます。スーパーインテリジェントAIや5G環境による徹底的な国民監視と管理による、一定の統制社会になっていくことは必至のように思われます。つまり、今までのような個人の自由は存在せず、個人は政府により監視管理される傾向がかなり強くなり、危険分子は、暴動や反乱の芽を摘むように、徹底的に排除されるような社会です。

きっと、ネットで好き勝手なことを書けるのも今のうちで、社会に悪影響を与えると判断されるような本ブログは排除されてしまうかも知れません。