東洋占術の基礎のお話(3)〜周易から六爻易へ

東洋占術の基礎のお話は今回で3回目です。

いつもメルマガでお伝えしている六爻易の結果ですが、全く意味がわからない、というご感想をよく頂きます。

本当に申し訳ありませんm(_ _)m

東洋占術の基礎の3回目の今回から、全く易のことがわからない方でも、私のメルマガの六爻易の結果説明が理解できるようになっていただくために、六爻易の解説を何回か、してみたいと思います。

3回目の今回までに、陰陽五行のお話と十干十二支のお話をしてきました。

これがまずわからないと、ここからのお話はチンプンカンプンになってしまうので、このあたり自信のない方は、まず、陰陽五行説のお話 と 十干十二支のお話 をお読みください。

これからの解説は、そこから先の話になります。

まず、易の卦について説明します。

八卦について

八卦の五行

先の陰陽五行説の説明では、五行が太極から出てきたことになっていますが、もう少し詳しくいうと、太極から陰と陽が順に枝分かれして、八種類の「卦」というものになりました。「卦」というのは、一種のマークのようなもので、天を表すマークが「乾」、地を表すマークが「坤」と言った具合です。以下の通りです。

いちばん下の、8個横に並んでいる、「乾、兌、離、震、巽、坎、艮、坤」を八卦といいます。

すなわち、乾は天、兌は沢、離は火、震は雷、巽は風、坎は水、艮は山、坤は地、をそれぞれ表します。

そして、これは重要なのですが、八卦にも五行があるのです。

乾=金

兌=金

離=火

震=木

巽=木

坎=水

艮=土

坤=土

です。

つまり、太極から八卦が生じて、それぞれに五行がある、ということです。

六十四卦

この八卦を2つ上下に組み合わせて、六十四個の卦を作ることができます。以下の通りです。

こんな感じです。

易者のことを、「八卦見」とか「八卦読み」というのは、このことを言っているわけですね。

「易経」という古い本は、この64個の卦について詳しく解説した本です。儒教の始祖の孔子は、実は、占いをする一族の出身でしたので、易経に造詣が深く、注釈も書いています。孔子の注釈は、易経の中に取り込まれていますので、易経の本を読むと普通に出てきます。

爻について

この64種類の卦は、真ん中が繋がっている線と真ん中が切れている線の六本の線の組み合わせになっています。真ん中が繋がっているのが陽(+)、真ん中が切れているのが陰(−)です。

この線のことを「爻(こう)」と言います。陽の爻を陽爻、陰の爻を陰爻と呼びます。

さらに、いちばん下から上に初爻〜上爻と呼びます。「易経」という本には、初爻=初九から〜上爻=上九と書いてあります。

易とは変化という意味ですので、陽は陰に、陰は陽に変化します。易の卦を占いで出すときに、この変化する爻は同時に決まります。

例えば、下の図では

左側の卦は「沢山咸(たくざんかん)」と言います。卦の上爻のところに赤い丸がついています。この場合、赤い丸のついた爻、この場合は上爻は陰爻ですが、陽爻に変化するということです。上の例では、「沢山咸(たくざんかん)」の上爻が陽爻に変化したことによって、卦全体が「天山遯(てんざんとん)」に変化しています。

変化する前の卦を本卦(ほんか、ほんけ)、変化した後の卦を之卦(しか、しけ)と言います。本卦は、占いの問い(占的と言います)に対する直接の答えで、之卦はその答えの状況の変化を表します。

易経という本で「沢山咸(たくざんかん)」のところを見てみましょう。易経の「沢山咸(たくざんかん)」のいちばん最初に書いてあるところを「卦辞(けじ)」と言います。

卦辞を読むと、「咸。亨。利貞。取女吉。
(かんはとおる。ていによろし。じょをとるにきち。)」と書いてあります。

また、爻のところの説明を「爻辞(こうじ)」といいます。上爻のところを読んでみると、「咸其輔頬舌。(そのほきょうぜつにかんず。)」と書いてあります。

この卦辞や爻辞を解釈して占いをするのが、「周易」です。

つまり、易経の64個の卦と6本の爻を使い、その意味を探っていくのが「周易」です。周易についても、私は30年以上研究していますが、未だに奥深くて極めたとは言えないのが本当のところです。

そして、周易だけでも十分占いはできますし、結構な的中率ですので、これをまずは勉強なさるのも、東洋占術のアプローチとしてはよろしいかと思います。

それでも、今回は、六爻易のさわりくらいまで解説したいので、もう一押ししてみます。

周易と六爻易の違い

周易では、占いをして(これを易を立てると言います)、出てきた64種類の卦を選び、そして変化する爻を調べて占い結果を出します。

六爻易では、卦と変化する爻を易を立てて出すところまでは同じです。六爻易では、卦に「納甲(なっこう)」ということをします。

納甲(なっこう)とは

納甲(なっこう)とは、卦に十二支を割り当てることを言います。実は周易でも納甲(なっこう)をすることがあるのですが、周易の場合は、十二支ではなくて、十干の方を使います。

六爻易では、納甲(なっこう)に十二支を使い、その配置は、卦により、既に決まっています。どうしてそのように決まっているかとかは、占いにはあまり関係ないので、すっ飛ばします。

不思議研究所のトラさんの講座では「納甲歌」を教えていますね。ゆくゆくは、それで覚えていくのがいいと思いますが、納甲表を使ったり、占いソフトですぐにわかるので、占いを稼業にしようという人以外は、あんまり意味がないと思います。

納甲表は、不完全ながら、こちら に載っているのでご活用されるといいでしょう。例えば、先の「沢山咸」の上爻という卦の納甲は以下のようになります。

(兌)沢山咸    (乾)天山遯

父母未土(応)   父母戌土     
兄弟酉金
子孫亥水
兄弟申金(世)
官鬼午火
父母辰土

上爻は陰から陽に変化して、卦が「沢山咸」から「天山遯」に変わっています。六爻易の納甲は、変化したところだけを書く流儀に則っています。

十二支の五行は、復習になりますが、子→水、丑→土、寅→木、卯→木、辰→土、巳→火、午→火、未→土、申→金、酉→金、戌→土、亥→水、となります。

次は、上の納甲についている、父母、兄弟、子孫、官鬼というのは何だ、という話ですが、長くなってしまったので、この続きは次回にします。

次回は、この父母、兄弟、子孫、官鬼、妻財のお話、六獣のお話、それから、占った月日の干支との関係などを解説します。お楽しみに!